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平成28年度老人保健健康健康増進等事業 報告書

2017年4月8日 土曜日

平成28年度老人保健健康健康増進等事業 報告書
QOL・労働生産性への影響を考慮した認知症施策の標準評価指標の
探索・開発に関する調査研究事業

http://hor-i.org/blog/hori-houkokusyo2016.pdf

テロと認知症と疫学と

2016年7月10日 日曜日

海外旅行でテロに遭う確率と、認知症の高齢者が運転する車で事故に遭う確率、どちらが低大きい?」
「正しく怖がる(が、怖がろうとしても寿命が先に尽きてしまう)食品」シリーズもそろそろ怖がり尽くした感があるので、疫学の復習として自らチャレンジ。

まずは、立場を決める。お題と私の直感からは、「一見テロの方が怖そうだが、実は交通事故の方が危険」という結末がなんとなく見えた。なので、できるだけ慎重な仮定をおくために、「海外テロは甘め(確率高め)、交通事故は辛め(確率低め)」の前提をおくことにする。「甘く見積もった海外テロ確率<辛く見積もった交通事故確率ならば、結論の信頼性は高まる」という発想。

では、数字を集めてみよう。
海外テロについては、外務省に数字がありそうだ。
外務省の「海外邦人援護統計」に、在外公館が海外の邦人に対して「援護を実施した」事案がまとまっている。
http://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_i…
「事故・災害」の項の「戦闘・暴動・クーデタ−」、それに「犯罪」の項の「テロ」について、死亡・負傷を2005-2014の10年分拾ってみた。
 結果、死亡が15名・負傷が20名。期間中の全死亡者は5,575名、負傷者は5,535名なので、テロによる死亡が占める割合は低い。
 死亡者と負傷者の数がほとんど同じなのは一見妙だが、これは軽傷者 (在外公館に助けを求める必要がなかった軽傷者)が除外されているためで、実際の負傷者数はもっと多くなるだろう。ただ、原因がテロやクーデターであれば、単なる強盗よりも在外公館が介入する確率は当然高くなるはずなので、「テロ関連死亡15名・テロ関連負傷20名」はかなり信頼性が高いデータと考えられる。
 10年間の渡航者は、のべ1億7,000万人。このうちの20人・15人のみでは、確率は極めて小さくなる。そこで、テロの危険性を高く見積もるために以下の調整を加えた。
1) 死亡・負傷だけでなく、「その他」を組み込む
「戦闘・暴動・クーデター」も、「テロ」も、死亡と負傷のほかに「その他○名」の項目がある。「その他」は、細かい記述を見ると「クーデターで空港が閉鎖されて足止めを食らった」「政情不安で国外にいったん避難した」ような人が多く含まれる。肉体的なケガはないが、「テロのせいで『痛い思い』をした」と考えられなくもない。「その他」の延べ人数は、10年間で999人。これをテロの間接的な被害者としてカウントしよう。
2) 2015年・2016年の死亡者データを追加
 統計が揃っているのは2014年までだが、2015年のイラク人質事件・チュニジア博物館銃乱射事件、さらに今年のダッカ事件を計算に含めた。分母に相当する海外渡航者の人数は、法務省の出入国管理統計から2016年6月末までの数値を採用した。 (2015年1,621万人、2016年半年間で762万人)
 以上をまとめると、2005年から2016年7月までに、海外で何らかの形で被害に遭った邦人の総数は1,064人。
期間内の海外渡航者の総数は、1億9,400万人。そのまま割り算してもアバウトな値は算出できるが、「1泊2日の弾丸ツアー」と「6ヶ月間のワーキングホリデー」では、事件に遭う確率は違ってくるだろう。本来は慣れその他の要素を考慮する必要があるが、ここでは純粋に「海外に滞在した日数」を採用することにした。
 日本旅行業協会の「海外旅行に関する調査」によると、1回の海外旅行での平均滞在日数は9.4日。
http://www.jata-net.or.jp/vwc/pdf/0…
 日本から滞在先空港に着陸するまでの時間がある程度かかるはずなので、平均9日間とすると、1億9,400万人×9日=17億4,600万「人・日」が、海外でリスクにさらされる総時間数となる。
 本来は駐在者(すなわち、365日海外にいる人)も含まれるため、人・日はもっと大きくなるはずだが、ここでも危険性を高く見積もるために、全員が短期滞在者と仮定して計算を行った。(分母が小さければ小さいほど、1人1日あたりのリスクは上昇する)
 17.5億「人日」で、1,064件の事件が発生している。それゆえ、1人1日あたりのリスクは1064÷17.5億。少々値が小さくなりすぎるので、「10万人日あたり」に直すと、0.0609となる。1,000万「人・日」で6.09人だから、「100万人が10日間の海外旅行をすると、およそ6人が1回テロに遭遇する」という値だ。
続いて、認知症の高齢者の推計に移る。
基本方針は、「けが人・死者が発生した交通事故の件数」×「うち、高齢者が運転している割合」×「うち、認知症の高齢者の割合」で件数を求める。
私自身はペーパードライバーですらない交通弱者 (持っている免許は、薬剤師と旅行管理者くらい)なので、交通関連の法規には正直疎い。単純に交通事故の件数をベースにすると、車単独の物損事故や運転者本人のみが負傷した事故も入ってしまい、過大推計になる。そこで、「他人を傷つけた」可能性が高そうな「自動車運転過失致死傷に問われた事例」をベースに、推計を試みた。平成27年犯罪白書 (法務省)によれば、平成26年の危険運転致死傷の検挙人数は462人、自動車運転過失致死傷等の検挙人数は566,976人。合わせて570,139人。刑法犯の検挙総数819,136人のうち、実に7割近く (69.3%)を自動車事故がらみが占める計算だ。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm…
 56万人のうち、高齢者が検挙された件数がわかればよいが、残念ながら自動車事故関連については年齢別の集計データが得られなかった。
 代用できそうな数値として、警察庁交通局「平成27年における交通事故の発生状況」に、第一当事者 (最も責任の重い者)の年齢別の事故件数が見つかった。人対車両の事故48,835件のうち、65歳以上の高齢者が第一当事者だったものは12,006件 (24.6%)。なお免許保有者数でみると、高齢者の占める割合は20.8%なので、高齢者が事故を起こす確率は30-50代と比較してやや高いといえる。
 65歳以上を5歳刻みに分けて、第一当事者件数で按分すると、65-69歳が56,845件〜85歳以上が4,903件、合計で140,168件となる。

 続いて、認知症の有病率をかけ算しよう。IKEJIMA (2012)らが、全国3,394人に対して実施した認知症の有病率調査によれば、65歳から5歳刻みの認知症の有病率は5.8% (65-69)・5.8% (70-74)・15% (75-79)・20% (80-84)・40% (85-89)。この値を先ほどの件数に掛け合わせれば、認知症高齢者の検挙件数が算出できそうだ。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/…
  ただし、そのままかけ算することはやや危険でもある。認知症が重症化すれば、そうでないものと比較して運転を続けられる可能性は低い。すると、「運転を続けられる」高齢者の中での認知症の有病率は、通常の高齢者のそれよりも低い可能性がある。上村らの「認知症と自動車運転 (日本臨床内科医会誌, 2016) 」によれば、認知症の高齢者13名のうち5名 (38.5%)は、道路交通法の改正 (医師が公安委員会に通報できる)以降も運転を継続していた。やや症例数が少ないもののこの数字を援用し、Ikejimaらの有病率に0.385をかけ算して「運転継続者の中での認知症有病率」と設定した。
  かけ算した結果を図<認知症高齢者が第一当事者となる事故件数>に示す。事故件数の推計結果は、65歳以上全体で5,361件となった。
 なお、認知症の高齢者は通常の高齢者に比べて、事故を起こす可能性が高くなることも考えられる。しかし今回は控えめな推計を行うこと、また認知機能と事故を起こす可能性に関しては複数の論文で異なる結論が出ていることから、認知症そのものにともなう事故率の増加は推計に含めていない。
  5,361件が分子で、分母はどうなるか。先ほどの17億「人日」に相当するのは、「1億2,500万人が365日間」とみなせる。これを計算すると、456.2億「人日」。5,361を456.2億で割って、先ほどと同じように10万「人日」に直すと、0.012となった。100万人が10日間暮らすと、1.2人が交通事故に遭う計算である。
 さて、最後の「どちらが危険か?」の評価である。同じ10万「人日」に揃えたときに、テロに遭うのは0.0609、交通事故は0.012だった。ならば、テロの方が5倍危険…と結論できそうだが、最後に落とし穴がある。1年365日をならして考えたとき、海外に出ている日数と日本で普通に生活している日数、どちらが多いだろうか?「ふつう」の人であれば、海外日数<<国内日数になるはずだ。例えば年にのべ1ヶ月間海外に出ていたとしても、残りの11ヶ月国内にいたとすれば、海外で30人日×0.0609、国内で330人日×0.012で、年間を通してみれば国内の交通事故リスクが上回る。大ざっぱに言って年間の海外滞在日数が60日以下であれば(長期滞在者を除けばほとんどの人がこの条件を満たすだろうが)、テロのリスクを相当高めに見積もっても「1年間にテロに遭遇する確率」<「1年間に認知症高齢者が原因の交通事故に遭う確率」になろう。
むろん、この大小比較をもって「テロ対策を軽んじろ」と主張するつもりは毛頭ない。むしろ、認知症対策を「同じくらい」重要な政策にすべきと、双方の当事者としては強く主張していきたい。

平成27年度老人保健健康増進等事業 報告書

2016年4月11日 月曜日

平成27年度老人保健健康増進等事業 報告書
認知症施策の効率性評価に資するアウトカム指標の開発と、認知症ケアの費用対効果評価の基盤となるコスト・アウトカムデータに関する調査研究事業

http://hor-i.org/blog/hori-houkokusyo2015.pdf

平成26年度 老人保険健康増進等事業 報告書

2015年4月29日 水曜日

平成26年度 老人保険健康増進等事業 報告書

多職種連携による認知症の疾病負担・QOL評価ならびに介入の費用対効果評価モデル構築に関する調査事業

http://hor-i.org/blog/wp/wp-content/uploads/2015/04/hori.houkokusyo2014.pdf

最新情報

2015年4月20日 月曜日

新規情報をアップしました。

研究助成事業報告

2013年3月25日 月曜日

平成25年3月12日、当法人選考委員会の審査により、公益財団法人東京都保健医療公社多摩北部医療センターへの研究助成金の交付が決定いたしました。

2012年9月30日 所長ブログより

2012年10月15日 月曜日

朝日新聞デジタル、妊婦の血液検査によるダウン症予測に関する記事。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201209290430.html

記事中、
「公表されているデータによると、子どもがダウン症だった場合、ダウン症と判定できる精度(せいど)は99.1%だった。反対に、ダウン症でないのに、ダウン症と判定してしまった率は0.1%以下だった。かなり正確に判定できると言える。 」
「90年代以降、日本でも「母体血清(けっせい)マーカー」という方法が導入され、年間約2万人が受けている。胎児がつくるたんぱく質などの濃度と、妊婦の年齢を加味し、胎児がダウン症である確率を出す。ただ、確率しかわからないという限界があった。 」
なるくだりが。この二つを組み合わせれば、「新しい診断法(=血液検査)を使えば、99%以上の確率でダウン症の有無を判定出来る」と解釈してもおかしくない。けれど、この解釈はよくある、そして致命的な間違い。

何がマズイのか。それは、「検査が意味があるかどうかは、病気を持っている人がどの程度いるかに大きく依存する」ことを考慮していないから。

ダウン症の確率は、妊婦の年齢に依存する。20歳で1200分の1, 25歳で1000分の1, 30歳で700分の1, 35歳で300分の1となる。

人口動態統計によれば、第一子を出産したときの平均年齢は30.1歳なので、700分の1を例に取ろう。もちろん第二子以降は上昇していくが、簡単のためにいったん30歳で考える。

計算しやすくするために、100万人の新生児を考える。このうち、ダウン症の新生児は100万÷700=1428人、ダウン症でない新生児は100万ー1428=99万8572人。

血液検査の精度として見つかったデータは、以下の通り。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22005709
ダウン症を発症した212例のうち、209例 (98.6%)が陽性。
ダウン症を発症してない1471例のうち、1468例 (99.8%) が陰性。

すると、ダウン症の新生児1428人のうち、妊婦検査で陽性になるのは1428×0.986=1408人。これは、「正しく陽性」の人。
一方ダウン症でない新生児99万8572人のうち、妊婦検査で「間違って」陽性になるのは998,572×(1-0.998)=2037人。「0.1%以下(データでは0.2%)」と言っても、元の人数が大量であれば、それなりの数が「間違って陽性」になってしまうのだ。

結局、検査で陽性と診断された人(の胎児)が、本当にダウン症である確率は、
「正しく陽性」÷(「正しく陽性」+「間違い陽性」)=1408÷ (1408+2037)=40.8%。5人に3人は間違い陽性なのだ。

計算してみると、「検査陽性のときに、本当にダウン症を持ってる確率」が90%を超えるのは、検査対象の集団内でのダウン症発症率が「52人に1人 (2%弱)」を超えるとき。だから、他の検査でダウン症が強く疑われる状態の母体に実施しないと、大量に偽陽性が出てしまうことになる(病院のページはそのようなニュアンスになっている)。

検査に意味があるかどうかは、記事にあるデータだけでは分からない。なおかつ、どんな検査をしても、「検査陽性」と「本当に病気あり」の間の橋かけは、結局確率になる。記事の結びは「全妊婦に診断の機会を提供する国も多い」とあるが、全妊婦にこの診断を導入することは、少しく無謀と感じる。

2011年09月08日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

真の科学者、武田邦彦先生

あーるさんから紹介されて、氏のブログを読んでみた。
まさに、疫学屋のはしくれ、タバコ研究者のはしくれとして、感動を覚えたので、こちらで紹介させて頂く次第。

「「年齢が高くなるとガンにかかりやすい」という傾向が見られます。」
その通り。さすが武田教授、瞬時にして加齢ががんの危険因子であることを看破した。加齢がリスクファクターであることは、疫学のイロハと思ってしまう私は、科学者として根本からねじ曲がっている。

で、
「 女性の場合、喫煙率が変化していないのに肺がんは男性と同じ比率で増加していることから、喫煙と肺がんには強い関係がないということになる。」
「肺がんの決定要因の第一は、長寿であり、長生きすると肺がんになる確率が上がる。」

 素晴らしい。タバコの肺がん発症リスクがパックイヤー(1日a箱×b年吸い続けて、a×bパックイヤー)が増えると増大するという、「種々の研究ですでに実証されていること」を、鮮やかにスルーした。
 女性の方がライトな喫煙者が多いのと、非喫煙者の肺がん発症が若干女性に多いことから、女性の方が相対リスクが低いのは必然…と「疫学者の常識」にとらわれている、私が未熟なのだ。 さらに、喫煙の発がんへの影響は数十年遅れて現れるから、現在の喫煙率と肺がんの発症率を比較しても無意味なことも、私は「常識」扱いしてしまっていた。己の不明を恥じる。

 私は愚か者なので、ついつい下記のような「男性でも女性でも、喫煙によって肺がんのリスクは上昇する。ただしその上昇割合は、男性と女性とで異なる」というデータに引きづられてしまう。武田先生の、「都合の悪いデータに眼を向けない、もしくは調べようとせずに、自らの説を貫き通す」その勇気に、ただ脱帽。

ganjoho.jp/data/public/statistics/backnumber/…att/date12.pdf
 武田先生の提唱する如く、「年齢とがん発症に関連があったら、他の因子は全部無視してOK。他の因子との関連を示すデータは、とりあえずほっかむり」となったら、どれほど医療は楽になるだろう。
 なまじっか私は疫学をかじっているがゆえ、
「さまざまな危険因子(飲酒や喫煙や肥満など)と疾患発症との関連を見る際には、大きく影響する因子(たとえば年齢)はあらかじめ調整してから解析をし、見たい因子の影響のみを取り出して評価する」ことは、どの教科書でも最初に載せるべき当然の操作と理解してしまっていた。
 碩学の武田先生が、教科書レベルの知識を持ってないことなど考えられない。きっと、独自の理論を構築されているに違いない。

さらに、「喫煙者で肺がんになる人の割合は600分の1であり」と。
 南の島の方にも、罹患率と有病率について新たな概念を提唱された大先生がいらしたが、名古屋の大先生も負けてはいない。「1年間の肺がんの死亡者数」を「過去から現在までを強引に平均して出した謎の喫煙者数」で割って、「肺がんになる人の割合は1/600」を算出している。
 この手のデータを出すためには、「ある非喫煙者が生涯に肺がんにかかる確率(もしくは、肺がんで死ぬ確率)」と「ある喫煙者が生涯に肺がんにかかる・肺がんで死ぬ確率」の比を求めなければ意味がない(このデータもがんセンターにあり)…と、私のような「頭でっかちの御用学者」は考えてしまうのだ。武田先生のような斬新な解析法には、到底思い至らなかった。

最初から最後まで、驚きの連続。謹んで、イグ・ノーベル賞あたりに推挙したいところ。

 老婆心ながら、武田大先生に「東北の野菜は危険と喝破されましたが、上記と同じ方法で是非リスクを計算して頂けないでしょうか?」と問うてみたい。

2011年08月07日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

ベクレルとシーベルトとグレイとレントゲン

換算式や意味の違いは、別段私が書くまでもない。

事故から5ヶ月あまり、人名とだけ認知していて、「何をしたヒト」視点が抜けていた。
「名前だけ知っていて何をしたか分からない偉人」としては、良寛さまや二宮尊徳、新渡戸稲造(そのうち有名ですらなくなりそう)があげられるが、このままではいけない。超有名なレントゲン以外の三人を、復習してみた。

「ベクレル」の画像が、妙に可愛い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%AB

それはともかく、
ベクレル(アンリ=ベクレル):ウラン化合物から放射線が出ることを発見
シーベルト(ロルフ=シーベルト):スウェーデン国立放射線防護研究所の初代所長
グレイ(ハロルド=グレイ):英国の内科医&物理学者、放射線の医療への利用と人体への影響を研究

だそうだ。偉ければ偉いほど、ポピュラーな単位か、周期表の後の方の元素に使われて名が残る。

極東の山猿はそのまま流してしまうが、先進国の人にとっては「1メガ利根川」とか「1キロ小柴」「1テラ湯川」のような感覚で認知されるのだろうか。何となく妙ではある。

どうせならいつの日か、「スタンガッシンガー」とか「ファン・ニステルローイ」とか「ベススメルトヌイフ」とか「バンバークレオ」とか「アホネン」のような珍名さんに偉大な業績を残して頂いて、後世の研究者を大いに悩ませていただきたい。

2011年07月31日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

放射線リスクフォーラム・短報

昨日のフォーラムの簡単なまとめ。

1. Dr. H.Collins (放射線影響研究所)
 ●放射線量の推定対象としてより重要なのは、量的には内部被曝よりも空気中の外部被曝。
 ●個人の外部被曝線量を推計するには、時間と場所のデータが重要。
 ●福島全県民に対して、疫学研究を企画中。
 フェーズ1: 空気中の汚染レベルが高いところにいた100人程度について、被曝線量の正確な推計
 フェーズ2: 全県民に対し、郵送による健康調査の実施。(maggy質問:「対照群はどうやって設定?」については、「あくまで研究でなく調査なので、地域で振り分けるか、線量レベルで層別化するかは未定」とのこと)ただし低線量被曝の影響を被爆者スタディと同程度正確に評価するには、全県民を対象にしてもまだサンプル数が不十分かも、とのこと。

2. 柴田義貞(長崎大学)
 ●安全とリスクの定義
 安全とは、「その危険性が許容可能な範囲であると判定されたもの(maggy訳)をさす。
  ”A thing is safe if its risk are judged to be acceptable”
 ●チェルノブイリ事故後20年間で、小児甲状腺がん以外の増加は確認されていない。小児甲状腺がんについては、1グレイ浴びると罹患確率が5.5-8.4倍となる。(ただし、罹患率は最大でも10万人あたり10人にとどまり、現在はほぼ事故前と同水準)。
 ●チェルノブイリ事故の一般住民に対する最大の健康影響は、スリーマイルと同様、「避難することによる精神的影響」である。実際、「キエフ市の住民」と、「チェルノブイリからキエフに避難してきた避難者」とを比較すると、後者の抑うつ傾向が有意に高い (1.6倍)。
 
3.柳川尭(久留米大学)
 ●低線量被曝の健康影響
  安全基準は集団を対象として設定される。集団の場合、感受性のとても高い(すぐに影響が出る)個体も低い(ちょっとやそっとなら大丈夫)個体もいることから、閾値は設定すべきでない(すなわち、「●●以下なら絶対安全」のようなしきい値は設けない)。
 ●線量と影響との関係
  よりリスクを「高め」に判断する観点からは、直線を当てはめるのが理想的。
 ●生涯罹患リスク
  リスクを大きめに見積もって計算すると、30歳で100msVの被曝で、被曝していない人と比べて、固形がんのリスクは1.05倍に上昇。
 ●ICRPの勧告
  不確実なリスクは「少し(針小棒大ではなく、あくまで真っ当な範囲で)」大きく見積もるべき。その観点から評価しても、ICRPの基準(平常時1mSV/年、緊急時20-100mSV/年)は妥当。

…maggyとしては、「避難することの精神的影響が最大」が最も印象深かった(この手で定量的な研究が存在するとは、正直思っていなかった)。