2011年04月05日 所長ブログより

(追加)医療経済からみた「ミネラルウォーター買い占め」

KP氏から、またまた面白いテーマを頂いた。

普段はエンジンがかからないのに、このような話だと熱中する。学生には申し訳ないが、後でなんとかしよう。

細かな話はここでは略す。

置いた仮定は先日と同様にした。
水道水チーム: 「規制値の2倍、1リットルあたり200ベクレルの水道水を、3年8ヶ月間1日1リットル飲む」
ミネラルウォーターチーム:「2リットル100円のミネラルウォーターを、同じ期間飲む」

医療経済評価では、評価したいもの(ここでは、ミネラルウォーター)に関して、
「手前味噌」にならないように控え目な推計をするのが原則。ただ今回は、控え目にやると
ミネラルウォーターチームのボロ負けになってしまうので、水道水は汚染され続け、なおかつミネラルウォーターは格安で手に入るものとした。

分析に用いたのは、他に甲状腺がんの医療費と、甲状腺がんによる死亡、さらにがんにかかることによる生活の質 (QOL)の低下。

細かい仮定はどこかで書こうと思うけれど、結論。すべて、女の子の乳児1人当たり。
(女の子の方が甲状腺がんにかかりやすい。だから、ここもミネラルウォーターに有利になっている)

ミネラルウォーター変更にかかるコストは、およそ63,900円。甲状腺がんの医療費削減効果は、高めに見積もって100円。トータルで63,800円のコスト増加。
一方、健康上のメリットはというと、0.00382QALY。
「QALY」は見慣れない単位だが、単なる「●年生きる」ではなくて、生活の質も考えて調整した「年数」だと考えていただきたい。寿命への影響と、生きている間の生活の質への影響、両方を加味した年数である。

63,800円かけて、0.00382QALYを獲得できる。
1QALYあたりに直すと、63,800÷0.00382=1,670万円。この金額は大きければ大きいほど、「費用対効果が悪い、かけるお金に見合った健康上のメリットがない」ということになる。「よい」と「悪い」の境目は、500万円から600万円。1670万円より、はるかに下。

かなりミネラルウォーターに甘くしてみたけれど、やはり及ばず。ちなみにタバコはと言えば、「寿命は延びるし、医療費は安くなる。」
水より、トイレットペーパーより、ニコレット。

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