2011年03月06日 所長ブログより

9回裏無死一塁でバントはするな

なる本を目にした。もちろん買って読む。

「送りバント」「敬遠策」「2-0からの一球ボール」「左打者には左投手」…
などの「セオリー」「定石」を、データから改めて再評価。ランナー一塁からのバントは、ほとんどのケースで「ランナーを二塁に進める」利益よりも「アウト1つをくれてやる」損失の方が大きいことなど、なかなか楽しい分析。

ただ、医療統計屋として、少し悩ましい部分は残る。例えば、左vs左について。
5年分のデータを使って、「左打者vs左投手」の打率が2割6分2厘・「左打者vs右投手」の打率が2割7分1厘であることを算出する。で、この9厘の差が偶然に生ずる確率はきわめて小さいことをもとに、「左vs左」は一定の意味あり…と結論している。

私の目からすると、5年分のデータをとれば、どんなに小さな差でも「偶然起こる」確率は小さくなるはず。極端な話、打率の差が1厘しかなかったとしても、20年分くらいデータをとれば「偶然ではない」という結論を導き出せる。数学的or統計的には。

本来考えるべきは、「9厘の差が統計的に意味があるか?」ではなく、「統計的に裏付けられた9厘の差は『野球的』にも意味があるか?」のはず。0.009の差を、医療でよく登場するNNTに換算すると、
「『左vs右』だったら打たれていたところ、『左vs左』にしたから打たれないですんだ」
ケースは111回に1回…となる。これなら、個々の投手と打者の相性を重視した方がはるかに意味はないか。

などなど、いくつか疑問は残るものの、基本的には良い本。おすすめ。
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