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2011年09月08日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

真の科学者、武田邦彦先生

あーるさんから紹介されて、氏のブログを読んでみた。
まさに、疫学屋のはしくれ、タバコ研究者のはしくれとして、感動を覚えたので、こちらで紹介させて頂く次第。

「「年齢が高くなるとガンにかかりやすい」という傾向が見られます。」
その通り。さすが武田教授、瞬時にして加齢ががんの危険因子であることを看破した。加齢がリスクファクターであることは、疫学のイロハと思ってしまう私は、科学者として根本からねじ曲がっている。

で、
「 女性の場合、喫煙率が変化していないのに肺がんは男性と同じ比率で増加していることから、喫煙と肺がんには強い関係がないということになる。」
「肺がんの決定要因の第一は、長寿であり、長生きすると肺がんになる確率が上がる。」

 素晴らしい。タバコの肺がん発症リスクがパックイヤー(1日a箱×b年吸い続けて、a×bパックイヤー)が増えると増大するという、「種々の研究ですでに実証されていること」を、鮮やかにスルーした。
 女性の方がライトな喫煙者が多いのと、非喫煙者の肺がん発症が若干女性に多いことから、女性の方が相対リスクが低いのは必然…と「疫学者の常識」にとらわれている、私が未熟なのだ。 さらに、喫煙の発がんへの影響は数十年遅れて現れるから、現在の喫煙率と肺がんの発症率を比較しても無意味なことも、私は「常識」扱いしてしまっていた。己の不明を恥じる。

 私は愚か者なので、ついつい下記のような「男性でも女性でも、喫煙によって肺がんのリスクは上昇する。ただしその上昇割合は、男性と女性とで異なる」というデータに引きづられてしまう。武田先生の、「都合の悪いデータに眼を向けない、もしくは調べようとせずに、自らの説を貫き通す」その勇気に、ただ脱帽。

ganjoho.jp/data/public/statistics/backnumber/…att/date12.pdf
 武田先生の提唱する如く、「年齢とがん発症に関連があったら、他の因子は全部無視してOK。他の因子との関連を示すデータは、とりあえずほっかむり」となったら、どれほど医療は楽になるだろう。
 なまじっか私は疫学をかじっているがゆえ、
「さまざまな危険因子(飲酒や喫煙や肥満など)と疾患発症との関連を見る際には、大きく影響する因子(たとえば年齢)はあらかじめ調整してから解析をし、見たい因子の影響のみを取り出して評価する」ことは、どの教科書でも最初に載せるべき当然の操作と理解してしまっていた。
 碩学の武田先生が、教科書レベルの知識を持ってないことなど考えられない。きっと、独自の理論を構築されているに違いない。

さらに、「喫煙者で肺がんになる人の割合は600分の1であり」と。
 南の島の方にも、罹患率と有病率について新たな概念を提唱された大先生がいらしたが、名古屋の大先生も負けてはいない。「1年間の肺がんの死亡者数」を「過去から現在までを強引に平均して出した謎の喫煙者数」で割って、「肺がんになる人の割合は1/600」を算出している。
 この手のデータを出すためには、「ある非喫煙者が生涯に肺がんにかかる確率(もしくは、肺がんで死ぬ確率)」と「ある喫煙者が生涯に肺がんにかかる・肺がんで死ぬ確率」の比を求めなければ意味がない(このデータもがんセンターにあり)…と、私のような「頭でっかちの御用学者」は考えてしまうのだ。武田先生のような斬新な解析法には、到底思い至らなかった。

最初から最後まで、驚きの連続。謹んで、イグ・ノーベル賞あたりに推挙したいところ。

 老婆心ながら、武田大先生に「東北の野菜は危険と喝破されましたが、上記と同じ方法で是非リスクを計算して頂けないでしょうか?」と問うてみたい。

2011年08月07日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

ベクレルとシーベルトとグレイとレントゲン

換算式や意味の違いは、別段私が書くまでもない。

事故から5ヶ月あまり、人名とだけ認知していて、「何をしたヒト」視点が抜けていた。
「名前だけ知っていて何をしたか分からない偉人」としては、良寛さまや二宮尊徳、新渡戸稲造(そのうち有名ですらなくなりそう)があげられるが、このままではいけない。超有名なレントゲン以外の三人を、復習してみた。

「ベクレル」の画像が、妙に可愛い。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%AB

それはともかく、
ベクレル(アンリ=ベクレル):ウラン化合物から放射線が出ることを発見
シーベルト(ロルフ=シーベルト):スウェーデン国立放射線防護研究所の初代所長
グレイ(ハロルド=グレイ):英国の内科医&物理学者、放射線の医療への利用と人体への影響を研究

だそうだ。偉ければ偉いほど、ポピュラーな単位か、周期表の後の方の元素に使われて名が残る。

極東の山猿はそのまま流してしまうが、先進国の人にとっては「1メガ利根川」とか「1キロ小柴」「1テラ湯川」のような感覚で認知されるのだろうか。何となく妙ではある。

どうせならいつの日か、「スタンガッシンガー」とか「ファン・ニステルローイ」とか「ベススメルトヌイフ」とか「バンバークレオ」とか「アホネン」のような珍名さんに偉大な業績を残して頂いて、後世の研究者を大いに悩ませていただきたい。

2011年07月31日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

放射線リスクフォーラム・短報

昨日のフォーラムの簡単なまとめ。

1. Dr. H.Collins (放射線影響研究所)
 ●放射線量の推定対象としてより重要なのは、量的には内部被曝よりも空気中の外部被曝。
 ●個人の外部被曝線量を推計するには、時間と場所のデータが重要。
 ●福島全県民に対して、疫学研究を企画中。
 フェーズ1: 空気中の汚染レベルが高いところにいた100人程度について、被曝線量の正確な推計
 フェーズ2: 全県民に対し、郵送による健康調査の実施。(maggy質問:「対照群はどうやって設定?」については、「あくまで研究でなく調査なので、地域で振り分けるか、線量レベルで層別化するかは未定」とのこと)ただし低線量被曝の影響を被爆者スタディと同程度正確に評価するには、全県民を対象にしてもまだサンプル数が不十分かも、とのこと。

2. 柴田義貞(長崎大学)
 ●安全とリスクの定義
 安全とは、「その危険性が許容可能な範囲であると判定されたもの(maggy訳)をさす。
  ”A thing is safe if its risk are judged to be acceptable”
 ●チェルノブイリ事故後20年間で、小児甲状腺がん以外の増加は確認されていない。小児甲状腺がんについては、1グレイ浴びると罹患確率が5.5-8.4倍となる。(ただし、罹患率は最大でも10万人あたり10人にとどまり、現在はほぼ事故前と同水準)。
 ●チェルノブイリ事故の一般住民に対する最大の健康影響は、スリーマイルと同様、「避難することによる精神的影響」である。実際、「キエフ市の住民」と、「チェルノブイリからキエフに避難してきた避難者」とを比較すると、後者の抑うつ傾向が有意に高い (1.6倍)。
 
3.柳川尭(久留米大学)
 ●低線量被曝の健康影響
  安全基準は集団を対象として設定される。集団の場合、感受性のとても高い(すぐに影響が出る)個体も低い(ちょっとやそっとなら大丈夫)個体もいることから、閾値は設定すべきでない(すなわち、「●●以下なら絶対安全」のようなしきい値は設けない)。
 ●線量と影響との関係
  よりリスクを「高め」に判断する観点からは、直線を当てはめるのが理想的。
 ●生涯罹患リスク
  リスクを大きめに見積もって計算すると、30歳で100msVの被曝で、被曝していない人と比べて、固形がんのリスクは1.05倍に上昇。
 ●ICRPの勧告
  不確実なリスクは「少し(針小棒大ではなく、あくまで真っ当な範囲で)」大きく見積もるべき。その観点から評価しても、ICRPの基準(平常時1mSV/年、緊急時20-100mSV/年)は妥当。

…maggyとしては、「避難することの精神的影響が最大」が最も印象深かった(この手で定量的な研究が存在するとは、正直思っていなかった)。

2011年07月12日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

相変わらず

日本国民の食事被ばく量25%増
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1668964&media_id=2

元記事の「25%増える計算だが、厚労省は『安全性の観点で相当小さい』」を
「25%増える」で切っているのは、ある意味悪意すら感じる。

相対リスクと絶対リスクについては、今まで幾度となく書いたとおり。

「1000000人に1人が800000人に1人」も、「5人に1人が4人に1人」も、同じく1.25倍。「南半球に逃げてもよい」と立派なセリフを吐いていた識者のタレント氏がいたが、彼が南半球に逃げる際に航空機で被曝する量とほぼ同等の量が、1年間の食事被曝量になる。

寿命が100年弱である以上、敢えてリスク計算はしない。ただ、今までで「最弱」のりすくであることは確か。

2011年07月06日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

砂の上に家を建て 雨が降ってきた

「表紙だけ見て本を5-10冊選んで、そのままレジに持っていって誤差数百円で支払終了」
「1g1円の駒場生協サラダの値段を、重さを量らずに誤差10円以内で当てる」
…などなど、まるで役に立たない特技をかつて持っていた。

今でも錆び付かず、なおかつたまに役に立つ特技が、「誤植見つけ」。ポスターを10数秒眺めると、なんとなく誤植が「しらないことが おいでおいでしてる」のを感じる。学会ポスターで発見できているのに、己の著書でさまざまな計算間違いをスルーしているあたりが、私の限界をよく示している。

さて、学生レポート。上記のような無駄技術を備えているので、iphoneで一瞥するだけでも、「おいでおいで」してくるレポートが複数ある。それを見越していたわけではないが、レポートは全て添付ファイル。それゆえ、google先生への疑義照会は非常に簡単。最初に引っかかったのが、「インスパイア」された翻訳記事。

 それにしても脇が甘すぎる。つぶやいたとおり、「自分ですぐに検索できたパクリ元」は、「教官にとってもすぐに検索できるパクリ元」でもあることぐらい、少し知恵を働かせれば分かりそうなものだ。
 あるいは、私はその程度も検索できない「マウスが机の端っこまできて動かせずに困り果てるおばちゃん」レベルだと思われているのか。だとしたら、舐められたものである。

 性格の悪さをにじませつつ、警告メールをしたためた。一人からは返事あり。この文章を書いている間にも、もう一つ剽窃レポートが。こちらは「米ニューヨーク発 ●月●日 P社は…」までそのままコピペされている。

 むしろ、「どれだけ速くネタ元を発見できるか?」というタイムアタックと受け取った。ならば受けて立つ。受信から元ネタ発見→リンクコピペ→警告メール送信まで45秒。そこそこの記録は出せたと思う。

2011年07月04日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

土壌放射線・お抱えはつらいよ~大地讃頌(長文)

今度の課題は、「土壌放射線と健康リスク」。

まずは「拡散希望」だそうなので、敢えて引用させて頂く。
(以下引用)
実はMixiのコミュニティ経由でこんなことを耳にしたのですが、、、
http://nippon-end.jugem.jp/?day=20110630
http://blog.pandacake.jp/?eid=945801

6月24日に、農水省が、放射能で汚染された泥であっても、200ベクレル以下であるならば、それを肥料に変えて流通させてもよいという決定をしたのだそうです。

恐ろしいことだと思います。
肥料にしたからって放射能が消えてなくなるわけではなく、土から農作物は放射能を吸収しますよね。。
これが本当に実現してしまえば、日本国産の農作物は何一つとして安全なものがなくなってしまう。
こんなことをして、誰を、何を助けようとしているのだろうかと疑問です。

どうか、この情報を一人でも多くの方に広めたい、そして、何とかしてこんな馬鹿げた決定が実際に行動に移される前に止めてもらいたいという思いで、皆様にメールしています。

私本人ではまだ真偽のほどは確認していないのですが、ブログの作者さんが農水省に電話で問い合わせていますんで、本当のようです。

この200ベクレルという数値が「国の基準」とありますが、これって震災後に引き上げた基準で、3月17日までは、基準は10ベクレルだったそうです。
それを知ってしまうと、200ベクレルが安全と言うその根拠は何なのかも疑問です。
(引用終わり)。

さて、計算を進めよう。

仮定は、「農水省基準ギリギリの、1kgあたり200ベクレルのセシウム137を含んだ汚泥肥料が、畑に撒かれる」である。このもとで、その畑から採取された野菜の健康リスクを計算すればよい。

考えるべきステップは、
1. 肥料を土に撒く(当然希釈される)
2. 土から野菜にセシウムが移行する
3. 野菜から体に経口でセシウムが移行する
である。

まず1。必要な情報は、「1平米あたりにまく肥料の量」「畑を耕す際の土を掘る深さ」「土の比重もしくは密度」である。かなり振れ幅が多くて往生したが、便利な資料を見つけた。三重県が作った、汚泥肥料の使用に関するガイドライン。
http://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/201106017220.pdf
最初のページの下側あたりに、「10アール (1,000平米) あたり1トン施用した場合」
「土壌重量は10アールあたり150トンとする」なる記載あり。
他のサイトを見ても、肥料の標準は1平米あたり1-2キロ (10アールあたり1-2トン) なので、「土の重さは10アールあたり150トン、肥料の重さは10アールあたり2トン」としよう。
同じ三重県資料の「蓄積度」式を見ると、重金属濃度については
「2トンの肥料を150トンの土に加えた場合、2/150に希釈 (うるさく考えると2/152?)」と考えて良さそうである。すると放射性セシウムも、200Bq/kgの数値が1/75に希釈されることになる。

続いて2。土の中のセシウム137が、どの程度野菜の中に移行するかのデータ。
こちらは、農水省が既存文献をまとめたデータを提示していた。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/pdf/110527-01.pdf
土壌の種類や、作物によって0.001未満から0.1程度までかなり差がある。相変わらず「セシウムの影響を高く見積もる」ために、高めの0.1を採用しよう。なお稲については、農水省が0.1の係数を提示していた。
“0.1”の意味合いは、作物中のセシウム濃度が、土壌のそれの10分の1になることである。

そして3。体に取り込まれたセシウムが、どの程度「悪さ」をするかの計算。
こちらはセシウム137の実効線量係数を使えばよい。経口の場合、1.3×10^-5mSv/Bq。

非常に分かりづらい式だが、逆数をとると1÷0.000013=76,900。この値は、「76,900ベクレルのセシウム137を摂取すると、1ミリシーベルトの被曝をしたことになる」と解釈できる。

まともに「健康への影響がある」と言えるのは100ミリシーベルトからだと思うが、ここを大甘にして、10ミリシーベルト分の被曝としよう。通常の自然放射線でも、4-5年浴びれば10ミリシーベルトに達する。

10ミリシーベルトの被曝に必要な摂取量は、769,000ベクレル。

さて、まとめ。
農作物から、汚泥肥料由来で769,000ベクレル (10ミリシーベルト)被曝するためには、どのくらいの量が必要だろうか?

基準値200ベクレル/kgの肥料が、まず1の「肥料→土」希釈で、200/75=2.67ベクレル/kgに濃縮される。そして2の「土→作物」移行で、さらに10分の1、0.267ベクレルとなる。結局農作物1kgあたり、0.267ベクレルの被曝増加。「意味のある」10ミリシーベルと被曝のためには、769,000÷0.267=288000キロ。すなわち、288トンの摂取が必要だ。

国民健康・栄養調査によれば(いつもは喫煙率のデータソースとして世話になっている。まさかそれ以外で役に立つとは)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000xtwq-img/2r9852000000xu2r.pdf

1日当たりの食物摂取量は、田畑から取れる「穀類(512) ・イモ類(56)・豆類(56)・野菜類(287)果実類 (102))」を全合計しておよそ1kg。3年かけて1トンだから、288トンを達成するには864年かかる。どうしよう。仕方ない。「汚泥肥料が撒かれ続け、なおかつ作物に集中的に取り込まれる」あたりを強引に仮定して、無理やりリスクを10倍に増やして、ようやく86年。

すべての数値で大甘レベルを使って、90年。本来ならここから「絶対リスクの定量」をすべきところだが、あまりにもリスクが低すぎて疲れてきた。
最後の力を振り絞って、これまた大甘仮定「ごく低線量でも線形でリスク上昇」で計算すると、全がんの罹患リスクは1.0097倍。治療必要人数206人。

ということで、「206人が基準値ギリギリの汚泥肥料を使った作物ばかり1日1kg90年間規則正しく食べ続けると、104人がんにかかる。食べないときは103人なので、+1人」となる。90年間がんにかかったり、他の要因で死んだりせずに、ひたすら食欲旺盛という無理な仮定。こんなところに金使うなら、予防接種や禁煙支援に使いましょう。

<追加ぼやき>
放射性汚泥の利用基準、10ベクレルが200ベクレルに引き上げられたとある。にしても、震災以前に「放射性汚泥の基準」があるとは、ずいぶん手際の良い話だ。
ならば、引用サイトを見てみよう。

引用元で、「10ベクレル→200ベクレル」の根拠として出ていたのがこちら。203-4ページの表。
http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
 ”WHOの基準!”とみんな大騒ぎだが、タイトルに「飲料水水質ガイドライン」。
incidence rateを「死亡リスク」と喝破する大准教授もいるから、慎重に原文を読み進める。
 だが、どこからどう見ても文中にあるのは、
「放射性物質放出事故直後の1年間を除いた通常時の」「飲料水」の放射性核種のレベル。
 それがいつの間にか、「事故直後」の「土壌中放射性核種」にすり替わってしまったようである。ブログの作者諸氏には、HTMLタグを使って太字や赤字や無駄な改行で煽り立てる暇があったら、原典の文章をせめて一度は読んで頂きたいのだが、無理な注文なのだろうか。

「200ベクレルは200ベクレルで一緒。単位も数値も一致しているから、他の些細な違いは気にするべきでない」と主張される方がいるかもしれぬ。
なるほど。
使わなくなった私のデジカメには、139g/トンの金が含まれている。
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70125b04j.pdf
もちろん私のデジカメは1トンもないが、些細な違いは気にしない。
gあたり3000円で換算すると、41万円/1トンになる。些細な違いを気にしない方には、私の古デジカメを進呈するので、ぜひ現金30万円 (少し安くしてみた)と交換して頂けないものか。

2011年06月24日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

近視眼的な発想

お抱え学者として、少しでも健康への影響を減らすための調査事業の打ち合わせへ。

准教授さまは「土壌セシウム」なる見えなくて怖くて隠蔽されていて(以下略)な敵に着目されているようだが、
統計と疫学の素人としては、やはり単一かつ最大・明瞭なリスクファクター、タバコを相手にしてしまう。なんと短絡的な発想と、自分を恥じる。

時間はかかるが、複合的に研究を進められそうだ。もっと統計を勉強せねば。

2011年06月22日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

実るほど頭を垂れる…

誰かの肩書きとその人の主張することの信憑性との間に、あまり相関がないことは、この数ヶ月でよく理解した。殊にそれが専門外となれば、なおさらである。

お抱え学者である私とて同じこと。「専門外」の放射線についてモノをいうときには、できるだけ己のフィールド(疫学や統計学や医療経済学)に軸足を置いて、なおかつある程度根拠のある数字を出して議論をすることを心がけていたつもり。

 ひょんなところで、サークルの先輩(直接の面識はあまりない)が主張されていた「リスク評価」の批判的吟味を依頼される。先輩ご自身は、全く私とは畑違い分野の「偉い」准教授先生(放射線ではない)。評価の中身は、定量的議論を一切抜きにして、土壌放射線の子供への被害を説き、なおかつ避難勧奨をするというもの。

 さすがに承服はしかねるから、定量データを添付して、反駁を試みた。
 私の名前は出さずに回ったそのメールに対して帰ってきた再反論、
 対岸からの記述、なおかつ一方的な立場で(当人の目に触れず)論じるのは申し訳ないけれど、統計と疫学のイロハすら理解していない内容。
 私が添付した「がん罹患率 (incidence rate) の論文」を一瞥して、「放射線のリスクは文献にあるような死亡率では測れない。健康被害のリスク(註:これこそまさに罹患率)を考えなければだめ」と切り捨てられてしまっては、「論文のタイトル読みました?」と丁重に問い返さざるを得ない。

 専門外のことを理解していないのは仕方ない。私だって、理学や工学の知識は素人以下。だがイロハも理解していない立場の方が、私の反論を伝えた方に「あなた統計分かってるの?」と諭しているのは、「わかりません」の著者としては言葉が出ない。残念ながら、件の准教授様よりも、私のゼミの学生の方が、よほどリスク衡量を理解している。

 雁屋先生とともに褒め殺しをしたいところだが、よそからかき回すのも申し訳ないので控える。願わくば、大先生が広くこの「新説」を開陳しないことを。

2011年06月16日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

ひた隠しにされるホットスポット

東電からも国からも全く発表はないが、独自調査によれば、東京の心臓部・港区にも放射線量の極めて高い区画が存在するという。原則的には事前にアポイントメントが必要だが、敢えてアポなしでの訪問・測定を試みた。
 たった数分間の滞在で、通常の500-1000倍の放射線量を浴びる。公式発表では「ただちに健康への影響はないレベル」にとどまる。しかし子供から高齢者までさまざまな人が同種の被曝をしていること。また今までの「隠蔽体質」を考えれば、公式発表を鵜呑みにはできない。そもそも、公式発表が嘘ではない証拠がどこにあるのか。「健康への影響はないレベル」なる発表こそ、情報隠蔽の証拠とも言える。
 関係者筋によれば、この区画の周囲500~1000mでのがん患者数は、他の地域と比べて非常に高い。また、死亡者数も図抜けて高い。(中略)いますぐ、東京から脱出を…(以下略)

 病院でレントゲン検査を受けてきた。都合何枚目か分からないけれど、意図しての100マイクロシーベルト被曝。レントゲンとCTと国際線航空機で、3/15のピーク値とは比較にならないレベルまで被曝している。もちろん、私は毎日CTを撮ったり、マイル目当てで毎日成田とニューヨークを往復したりはしないので、寿命が1500年とかでない限りは「健康への影響はない」。

 「風邪類似の症状が2週間以上続く」、通常ならばどうでもいいレベルだが、結核の既往があって、人前でしゃべる仕事としては不安になるところ。予約なし。一日つぶれる覚悟で行ったけれど、私を誰と勘違いしたのか、最優先で診察→血液&レントゲン→診察を1時間弱で済ませてくれた。幸いというか案の定というか、肺への異常はない。定番の風邪薬etcを処方してもらって帰る。

 いつもならそばの薬局で調剤してもらうのだが、せっかくなので手土産を買って、学生の実習先へ。こちらがお礼を言うべきところ、忙しい中丁寧に対応していただき、むしろ恐縮。

2011年06月11日 所長ブログより

2011年9月13日 火曜日

AKB総選挙を統計する

けんぽう氏のhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1735295842&owner_id=7488と、
あーる氏(お抱え学者である私のフィクサー)の煽り?に触発された。

対象はどうあれ、選挙は選挙。私も何かやってみたい。

普段の選挙ならば、やはりドクターその他の泡沫候補に注目してしまう。
残念なことにこの総選挙、41位以下の得票が公表されない。

とはいえ、総得票数116万票で、
http://www.sanspo.com/geino/data/akbsenkyo.html
から求めた「40位以上得票数」が108万票 (93%)。上位2人の得票数 (26.2万)>21位以下全員の得票数(23.8万)という数字を考えると、下位の候補者の得票はかなり少ないことが予想される。

散布図を書いてみると、対数関数っぽく見えてきた。
ならばと、統計ソフト上で対数関数をあててみる。予想以上に綺麗にフィットした。
左が全候補者(ここでも、トップ2の得票数のすごさが分かる)、右が21以下のみでのフィット。両方の関数をいじくって、下位の得票数を推計してみる。

50位 1463票~3241票
75位 188票~932票
100位 24票~268票
125位 3票~77票
150位 0.4票~22票

なかなかシビアな世界。

ついでに、得票数の推計最高値の、トップ(前田敦子14万票)に対する割合を出して、前々回の都知事選の下位候補の石原知事に対する得票割合と比較してみた。

(ドクター中松 3.06%)
(桜金造 2.47%)
50位 2.32%
(内川久美子 0.77%) 
75位 0.67%
(外山恒一 0.54%)
100位 0.19%
(しろめがね 0.13%)
125位 0.06%
(鞠子公一郎 0.05%)
150位 0.02%

制限選挙とはいえ、実に厳しい競争。