2011年03月26日 所長ブログより

放射線と10円玉と宝くじ

「確率」「数字」に、拒否反応を示す人は多い。
「数字で語る」→「理屈をこねて煙に巻こうとする」と否定して、
「危険が少しでも増すのならば、避けるに越したことはない。それが危機管理」と主張する人もいる。

少々発展すると、「規定値の200倍」「1250倍の量の放射線」となる。一見、データに基づいた「科学的」な記事に見える。

さて、脱線してみよう。
 10円玉を投げて、数字の面が出る可能性は50%。平等院の側(いわゆる表)が向かい合うように2枚の10円玉を貼り合わせれば、必ず数字の面が出る。50%が100%になるから、確率は「2倍に増える」。
 一方、ジャンボ宝くじを1枚だけ持ってるA君と、2枚「も」持っているB君。1等2億円が当たる可能性は、B君のほうがA君よりも「2倍に増える」。とはいえ、当選確率は微々たるものだから、「1000万分の1」が「1000万分の2」になるだけ。

 10円玉もジャンボ宝くじも、「2倍に増える」はウソではない。だが、増え方は全く違う。以前も書いたけれど、ただ単に倍率を論ずるだけでは、根拠なく煽っているのと同レベル。

「もともとの危険性が、●●人に1人」
「そこへ、(タバコでも放射線でも排ガスでも)リスク因子を××の量浴びる」
「そうすると、●●人に1人が△△人に1人まで上昇する」

この3点が揃って初めて、「正しく怖がる」ことができる。2番目だけ取り出して独り相撲をとるのは、「数字で物を考える」とはいえない。

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